新谷 雅老(しんたに まさろう)
高校時代から綴っている詩やエッセイを紹介しています。
  プロフィール→https://massaki.blog/archives/cat_53919.html

思っているほど男は強くない
思っているほど女は弱くない

思っているほど過去は近くない
思っているほど未来は遠くない

思っているほど一日は短くない
思っているほど一年は長くない

思っているほど動物は馬鹿じゃない
思っているほど人間はかしこくない

思っているほど休みは楽じゃない
思っているほど仕事はきつくない

思っているほど暇は暇じゃない
思っているほど多忙は多忙じゃない

思っているほど世間は広くない
思っているほど世の中は狭くない
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 ぼくは20歳から22歳にかけて東京に住んでいた。その間、いろいろな女性との出会いがあったのだが、付き合うまでには到らなかった。高校時代に好きだった人の影を、ずっとぼくは追っていたのだ。

 東京に出て二ヵ月目のある夜、
「いったい彼女のどこが好きなんだろうか」
 と考えていた。
 同級生とはいえ、さほど会話を交わしたこともなかったから、相手の性格もよく知らない。決して美人でもなかった。
 卒業アルバムなどを見ながら色々考えていくうちに、ハタと気がついた。
「そうだ、これだ!」


ショートホープ・ブルース
ねえ、ちょっと目を閉じると
君の姿が見えてくるんだよ
ねえ、ちょっと君が笑ってくれると
ぼくはまた眠れなくなるよ

ねえ、寝付かれない日々だけど
いつもぼくはショートホープを
ねえ、いつか君にあげたいんだけど
君にはとってもわからないだろうね

 ねえ、だからさ わからない君に
 ブルースを歌ってあげるよ
 ねえ、優しすぎる君の頬に
 ショートホープ・ブルースを

ねえ、いつか君と暮らすんだよ
だからぼくはショートホープ・ブルース
ねえ、いつか君と暮らすんだよ
だからぼくはショートホープ・ブルース

 つかの間の夢に うつむいたぼくの心を
 静かになだめてくれる
 ねえ、だからそんな君の頬に
 ショートホープ・ブルースを

ねえ、いつか君と暮らすんだよ
だからぼくはショートホープ・ブルース
ねえ、いつか君と暮らすんだよ
だからぼくはショートホープ・ブルース


 やや面長で頬のこけていた高校時代のぼくには、丸顔の彼女のやや膨よかな頬が魅力的に映ったのだ。その頬に淡い望みを持ったわけだ。

 詞はその時に書いたもので、曲は他の歌詞に使っていたものを使った。
 この歌、えらく難しくて、長いこと歌いこなせずにいた。何とか人に聴かせられるようになるまで十年近くを要している。自作曲でそこまで時間のかかった歌はなかった。
 さらに難しかったのがギターだった。ピックが思っている弦に当たってくれないのだ。これは今でもそうで、なかなか思うようにいかない。


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夜の風が強く窓をたたくのは、
女ギツネがやっているんだと。
男たちを化かしているんだと。
一度取り憑かれてしまったら、
いつかは死んでしまうんだと。

いつかは誰もが死ぬんだから、
みんな取憑かれているんだね。
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地表から上はすっぽんぽん
一糸まとわぬすっぽんぽん
「空がある」はまちがいで
その有り様はすっぽんぽん
鳥が飛んでも雲があっても
そのまた上はすっぽんぼん
宇宙にいたるすっぽんぼん
空は存在するのではなくて
空というのはすっぽんぽん
限りなく続くすっぽんぽん
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 かつて北九州の小倉駅前に『黄昏』という喫茶店があった。ぼくは東京に出る前、小倉でアルバイトをしていたのだが、その帰りにバイト仲間とよくその喫茶店に行っていた。午後5時に終わる仕事だったので、『黄昏』に着く頃は、本当に黄昏れ時で琥珀色の空が街を照らしていた。


街の灯
病み疲れたカラスたちが
今日も帰って行く
 昔描いた空は消えはてて
 さて、帰る家はあったんだろうか
琥珀色の時の中で
街の灯は浮かぶ

明るい日差しの中でも
笑わないカラスが
すすけた街の灯を
見つめては笑う
 昔描いた空は消えはてて
 さて、淋しくはないんだろうか
堪えきれない切なさに
街の灯は浮かぶ


 その翌年、ぼくは東京にいた。上京した当初は、新宿とか池袋に行ってブラブラしていたのだが、だんだんその人ごみにも飽きてきた。そんなある日、ぼくは新宿から中央線に乗りかえて中野に行ってみた。着いたのは夕方だった。駅前は琥珀色に染まり、その雰囲気がなぜか小倉駅前に似ていた。それ以来、望郷の念に駆られると、ぼくは中野に行くようになった。

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