2024年05月
花と蝶
湿気ったダンヒル
砂漠
それは、月に隈のない頃の話ですね。
旅はまだ続くのでしょうか。
砂漠も夜は寒いでしょうね。
──少なくとも昼間よりは
だけど、星も透き通っては、
月も色づく。
きれいでしょうね。
ああ、ぼくの心はちょうど砂漠、漠、漠と
君の面影もきれいですよ。
君の想い出もきれいですよ。
だけどまだ旅は長くて、
夜は寒いのですよ。
冷たい夜のオアシスですよ。
日々の生活は蜃気楼。
心は何かを求めているのです。
君の心ではありませんけど。
君の体ではありませんけど。
それが何かはわかりませんけど。
あるのは漠然とした、
この一帯に続く、
砂漠、漠、漠──。
からからに乾ききった、
けだるい日々の生活です。
午後から続く、砂漠の旅です。
それはまだ、月に隈のない頃の話ですね。
旅はまだ終わらないのでしょうか。
砂漠の夜は辛いでしょう。
水もなければ、人もいない。
寂しく乾いた風が、
そこには吹いているだけですから。