おもに文明国に生息するのが、『妖怪はらまわり』である。取り憑かれると、おなかの周りが膨れていくのですぐにわかる。

 この妖怪は実体を持たないが、甘い物などを見つけると、取り憑いた人間の心に働きかけ、誘惑に勝てないようにしてしまう。よく「お菓子は別腹」などと言うが、実はこれ、『妖怪はらまわり』が言わせているのである。

「脳の疲れを取るんために、チョコレートを食べるんだ」とか「タバコの量を減らすために、キャンディをなめるんだ」などと、自分に対して苦しい言い訳をするようになるのも、この妖怪の仕業なのである。

 この妖怪は怠け者が大好きなので、「食っちゃ寝」生活をしている人は要注意である。この妖怪が取り憑き、繁殖してくると、糖尿病や高血圧といった厄介な病気を引き起こす。

 この妖怪に取り憑かれないようにしたいのなら、食べないことである。しかし、そうするわけはいかない。餓死王がやってくるからである。

 では、どうしたらいいのだろうか?彼らが極端に嫌うのは、「運動」とか「ダイエット」とかいう言葉の実践である。しかし、彼らも一度取り憑いたら離れないしつこい妖怪なので、一度取り払っても、油断するとまた繁殖してしまう。

 実は、この妖怪に対して非常に有効な呪文があるのだ。門外不出ではあるが、この記事を読んでいる方だけに、特別にお教えすることにしよう。

 その呪文とは、
「おんぶるぶるあぶとろにっくそわか」である。
 ぼくはその後、この呪文のおかげで、『妖怪はらまわり』を追い出すことに成功している。