2024年07月01日 七月の雨 すべては六月に起きている。今も陰暦を使っているものと、勘違いした神様が、「ああ今月は水無月かそれなら当分雨はいいや」と晴れ間の数を増やすんだ。下界はしばらく我慢をするが、さすがに七月間近になると、空梅雨などと騒ぎだす。雨乞い神事がおこなわれ、そこでようやく神様は、暦違いに気づくんだ。それで雨を降らすものの焦りまくった神様が、慌ててやってるもんだから、雨の量を間違えて、大雨降らせてしまうんだ。
2024年06月26日 巣立ち 1、2、3で飛び出すんだ。今は技術なんか必要ない。今必要なのは勢いだけだ。飛びたいという気持ちを自分の中で大きく膨らませとにかく羽を動かしてここを飛び出すんだ。振り返れば何でもないことだ。我々はその能力を生まれつき持っているんだから。さあいいか。1、2、3だ。ここから飛び出すんだ。
2024年06月21日 およそ10メートル 玄関から車までの距離はおよそ10メートルである。およそ10メートルという距離は傘を広げている間に車に着いてしまう距離である。およそ10メートルという距離は傘を広げている間に車に着いてしまう距離だから傘をさす人はまずいない。およそ10メートルという距離は傘を広げている間に車に着いてしまう距離だから普通の雨の時にはちょい濡れ程度ですんでしまう。およそ10メートルという距離は傘を広げている間に着いてしまう距離ではあるものの豪雨の時にはいつもずぶ濡れになってしまう。
2024年06月19日 天、散弾して 天、散弾して地を覆う公園カラスが騒がしいその電柱から退去しろ光の弾が襲ってくるぞ その電柱から退去しろ 天、散弾して地を覆う地、被弾して川と化す公園カラスが騒がしいいったん山に避難しろ水に飲まれて流される いったん山に避難しろ 地、被弾して川と化す
2024年06月15日 ホーライ・チャイゴ・オグネーク とある地域の小さな沼には 満月の夜に月から風が吹く という古い言い伝えがある。空が晴れ渡った満月の夜に月風を受けると幸せになるという伝説を信じる村人が次から次へと集まってくる。手作りのお菓子を持寄って月風が洗う水で茶を点てて人びとはそこで人生を語り互いの愛をたしかめている。 月風を身に受けた兎たちは 月が映し出すそんな影絵を 鼻ひくつかせて眺めている。