カテゴリ: 自然


すべては六月に起きている。
今も陰暦を使っているものと、
勘違いした神様が、
「ああ今月は水無月か
それなら当分雨はいいや」と
晴れ間の数を増やすんだ。
下界はしばらく我慢をするが、
さすがに七月間近になると、
空梅雨などと騒ぎだす。
雨乞い神事がおこなわれ、
そこでようやく神様は、
暦違いに気づくんだ。
それで雨を降らすものの
焦りまくった神様が、
慌ててやってるもんだから、
雨の量を間違えて、
大雨降らせてしまうんだ。


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1、2、3で飛び出すんだ。
今は技術なんか必要ない。
今必要なのは勢いだけだ。
飛びたいという気持ちを
自分の中で大きく膨らませ
とにかく羽を動かして
ここを飛び出すんだ。
振り返れば何でもないことだ。
我々はその能力を生まれつき
持っているんだから。
さあいいか。1、2、3だ。
ここから飛び出すんだ。


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玄関から車までの距離は
およそ10メートルである。

およそ10メートルという距離は
傘を広げている間に
車に着いてしまう距離である。

およそ10メートルという距離は
傘を広げている間に
車に着いてしまう距離だから
傘をさす人はまずいない。

およそ10メートルという距離は
傘を広げている間に
車に着いてしまう距離だから
普通の雨の時には
ちょい濡れ程度ですんでしまう。

およそ10メートルという距離は
傘を広げている間に
着いてしまう距離ではあるものの
豪雨の時には
いつも
ずぶ濡れになってしまう。


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天、散弾して地を覆う
公園カラスが騒がしい
その電柱から退去しろ
光の弾が襲ってくるぞ
 その電柱から退去しろ
 天、散弾して地を覆う

地、被弾して川と化す
公園カラスが騒がしい
いったん山に避難しろ
水に飲まれて流される
 いったん山に避難しろ
 地、被弾して川と化す


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 とある地域の小さな沼には
 満月の夜に月から風が吹く
 という古い言い伝えがある。

空が晴れ渡った満月の夜に
月風を受けると幸せになる
という伝説を信じる村人が
次から次へと集まってくる。

手作りのお菓子を持寄って
月風が洗う水で茶を点てて
人びとはそこで人生を語り
互いの愛をたしかめている。

 月風を身に受けた兎たちは
 月が映し出すそんな影絵を
 鼻ひくつかせて眺めている。


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