ぼくは、KBCの和田安生アナウンサーのしゃべりが好きで、通勤時にはいつも“びっくりパワーシャベル”というラジオ番組を聴いている。
この人は、とにかく切り返しのうまい人で、共演の宮本アナウンサーへのいびりとも受け取れるやりとりが大変面白い。
それはさておき、この番組には毎週テーマがあるのだが、今週のテーマは“あぁ 青春のポップス”である。(この企画で、先日チューリップの財津和夫が出ていたわけだ)
さて、今日はその絡みからか、放送開始のしょっぱなから、吉田拓郎の“ペニーレインでバーボン”を流していた。
ぼくとしては「おっ!」という感じだったが、それにしてもこの歌がかかるとは。
拓郎世代のぼくとしては、すんなり入れる曲なのであるが、はたして今の若い人たちはこの歌を聞いてどういう受けとめかたをするのだろう?
和田アナは「思わず口ずさんでしまいました」と言っていたが、そうだろう、彼はぼくと同い年なのだ。
おそらく若い宮本アナは「なんだ、この曲?」だったのではないだろうか?
この歌は、拓郎が言いたいことをがなっているだけの歌であるからだ。
こういう歌は、`70年代を体験してきた人にはよくわかるのだが、それ以外の人はおそらく「?」なのではないだろうか。
“ペニーレインでバーボン”、この歌が流行ったのは高2の時、ちょうど修学旅行の頃だった。
この歌のおかげで、原宿のペニーレインは修学旅行生であふれていたらしい。
残念ながら、ぼくたちの学校は東京には行かなかった。
ぼくはバスの中でギター片手に“ペニーレインでバーボン”を歌いながら、「東京に行きたかったなあ」と思ったものである。
まあ、修学旅行の想い出は別の機会に語るとして、今日は“びっくりパワーシャベル”のゲスト(?)として、春日市の美容師さんが出演していた。
夫婦で拓郎ファンらしく、美容院の名前は“ペニーレイン”、長男の名前は“拓郎”ということであった。
「そういえば・・」とぼくはHさんという人のことを思い出した。
前に勤めていた会社に親会社から出向で来ていた人だったが、無口で愛想がなく、いつも怒ったような顔をしていた。
大酒飲みで、いつも二日酔いで会社に来ていた。
時には、実演中の洗濯機の中に吐くこともあった。
このHさんの息子の名前も“拓郎”だった。
Hさんも大の拓郎ファンで、子供の名前も吉田拓郎からとったということだったが、“拓郎”という名をつけたのは単に「拓郎ファンだから」という理由だけではなかった。
実は、拓郎のコンサート(篠島コンサートの時か?)に行っていたH夫妻が、コンサートの最中に急に催して、その場でやってしまったらしいのだ。
“拓郎”と名付けたのは、その時の子だから、というのもあるということだった。
拓郎も後のコンサートで「ぼくのコンサートで興奮してしまい、やっちまった奴がいる」と言っていたから本当のことだろう。
それにしても、その「やっちまった奴」が同じ会社のHさんだったとは!
Hさんの家はぼくの家と同じ方角にあったので、たまにいっしょに帰ることもあったが、あまり拓郎の話は出なかった。
そのうち彼は、他の店に転勤していった。
無口で無愛想でいつも怒った顔をした大酒飲みのHさんは、「やっちまった奴」でもあった。