NHKの大河ドラマ「北条時宗」は来週が最終回である。
昨日が元寇(弘安の役)だった。
このドラマに関しては、方々から「時宗はそんなやわな男じゃない!」とか「これではまるで戦後民主主義で育ったリーダー像じゃないか」などという批判が多い。
ぼくはこのドラマは文永の役から見だしたので、このドラマに関しての詳しいことはわからない。
しかし、一点だけこのドラマに文句をつけたいことがある。
それは方言だ。
九州の武将のセリフのほとんどは九州弁でやっている。
「~たい」とか「なんば言いよっとか」などであるが、その中にこの時代に絶対使ってはいけない言葉がある。
それは「ばってん」である。
「ばってん」とは、北原白秋も言っているが、オランダ訛りなのである。
時宗の時代は13世紀、オランダ人が長崎にやってくるのは3世紀以上も後のことだから、当然その当時には使われてない言葉である。
風俗や衣装や鎌倉武士の考え方など、十分に考証した上でNHKはこのドラマに臨んだのだろうが、思わぬところに落とし穴があった。
さて、その「ばってん」であるが、英語にすれば「BUT」となる。
おそらくこの言葉は、その当時の西洋かぶれ野郎が使っていたのが、九州全域に広まっていったものだろう。
つまり、九州の方言というよりは、九州の流行語だったわけだ。
ということは、今日発表された流行語大賞の「ブロードバンド」や「ショー・ザ・フラッグ」などと同等の言葉だったということである。
みんなが方言と思っているから廃れないで残っているが、今年流行った言葉だとしたら、2,3年後には、
「え?“ばってん”?、お前古いねえ。それはもう死語やん。いつの時代の人ね」
などと言ってからかわれるようになっていただろう。
そういえば、九州のタレントに「ばってん荒川」という人がいるが、これも考えようによっては「トータス松本」や「ジャニー喜多川」といった「外国語+苗字」のネーミングと同じものだ。
もし江戸時代に「ばってん荒川」などと名乗っていたら、「なん艶つけとうとや!」となっただろう。
今だから許される名前なのだ。
ということは、何世紀か後に「ブロードバンド鈴木」とか「ショー・ザ・フラッグ田中」などという人が現れるかもしれない。
外国語+名前、ぼくも何か考えてみようかなあ・・・
「ホワイト げしんた」