頑張る40代!

いろんなことに悩む暇があったら、さっさとネタにしてしまおう!

招かざる客

昨日は一日家にいたのだが、昼を過ぎた頃だったか、「ピンポーン」とチャイムが鳴った。
誰だろう、と出てみると、そこには小太りのおっさんがいた。
「はい、どちら様でしょうか?」
「こんにちはー、読売新聞ですけど」
新聞の勧誘だった。
ぼくは、こういう時の応対は、いたって冷静である。
「ああ、読売さんですか。それは残念なことをしました」
「え?」
「うちには、巨人ファンはいませんからねえ」
ダイエーファンでしょ。よく言われるんですよ。でも、読売新聞はダイエー情報も満載ですよ」
西スポよりも?」
「いや、西スポさんほどじゃないけど・・・」
「残念ですねえ。うちは西スポなんですよ」
と、お引き取りいただいた。
ちなみに、うちで取っているのは、西スポではなく朝日新聞である。

新聞の勧誘は実にしつこい。
だいたい新聞というのはどこも似たり寄ったりだから、よっぽど個性的な新聞の名を持ち出さないかぎり、相手は引いてくれない。
つまり、毎日新聞の勧誘に来た時に、「うちは朝日ですから」ではだめだ、ということだ。
ぼくは毎日新聞が来たときには、「すいませんねえ、うちは日経とってますから」と言うことにしている。
だいたいこう言えば、相手は引いてくれる。
中には「一般紙も読んでみませんか?スポニチもお付けしますよ」と突っ込んでくる人もいる。
そういう場合は、「うちには2紙も取る余裕なんてありませんよ。合計3紙も取るとゴミも溜まるし、お宅がゴミを引き取ってくれますか?」と言うことにしている。

休みの日に家にいると、いろいろな人がやってくる。
「ピンポーン」
「はい、どちら様ですか?」
「私、O教会からやって参りました」
ドアを開けてみると、そこには子連れの女性が立っている。
「なんでしょう?」と聞くと、聖書を買ってくれという。
子供までが「お願いしまーす」と言う。
子供はそのためのダシである。
「申し訳ありませんけど、うちは代々浄土真宗の家系でして」
と言ってお断りする。
それでもしつこく食い下がる人には、「パーン」と手を叩き、「さて、どちらの手がなったでしょう?」と質問する。
相手は必ず、戸惑って「え?」と言う。
すかさず、「これがわかったら買いましょう」と言う。
相手は、気味悪がって帰っていく。
ぼくは合掌して送り出す。
実は、この「パーン」は、禅問答のひとつである。
答はぼくにもわからない。
勧誘撃退だから、何でもあり、である。
相手が何か答えたら、「違います」と言うだけである。

そういえば、彼女たちは以前、「ものみの塔」なる機関紙を売って歩いていた。
こちらが「いりません」と言うと、「では読んで下さい」と言って、ただで置いていった。
置いていくくらいなら、ポストに入れればすむことじゃないか。
わざわざ「ピンポーン」する必要はない。
神に仕える身の人の考えることは、よくわからない。

新聞、宗教の他にも、互助会、生命保険、物売り、共産党など、さまざまな人がやってくる。
そのつど応対も変わるのだが、一度失敗したことがある。
第一生命が来た時である。
「こんにちは、第一生命です」
「ああ、第一生命さん。ぼく入ってますよ」
「そうですか。どちらの支部から入りましたか?」
「黒崎支部です」
「そうでしたか。それはすいませんでした」
と言って帰った。
後日、その人がまたやってきた。
「こんにちは、第一生命です」
「ああ、どうしたんですか?」
「帰って調べたんですが、しんたさんの名前はありませんでしたよ」
「え、調べたんですか。しょうがないなあ」
「顧客を検索したら、すぐにわかりますよ」
そう言って、彼女は笑いながら帰っていった。
まさに、『策士、策に溺れる』
彼女のほうが、一枚上手だったわけである。