頑張る40代!

いろんなことに悩む暇があったら、さっさとネタにしてしまおう!

フルネーム・コンプレックス

あまり大きな声ではいえないが、ぼくは昔から、人前で自分の名前を呼ばれるのが嫌いである。
特にフルネームで呼ばれることが嫌である。。
銀行に行くと、苗字を呼んでから、追い討ちをかけるようにフルネームを呼ぶ。
「しろげ様、しろげしんた様」といった具合だ。
これほど恥ずかしいことはない。
だから、ぼくはATMで出来ることは、すべてATMで処理するようにしている。
それでも、通帳を更新する時は、嫌でも窓口に行かなければならない。
そこでぼくは、フルネームを呼ばせないために、「しろげ様」と呼ばれた時点で、「はい!」と大きな声で返事することにしている。
ただでさえ、フルネームで呼ばれることが嫌いなのだ。
もし公衆の面前でフルネームを呼ばれたりしたら、もうその銀行には行く気がしなくなる。

郵便局も同じことが言えるが、ぼくは、郵便局は郵便貯金をやっているわけではないし、簡保に入っているわけでもない。
ぼくの利用する場所は、番号札で対応しているので、名前を呼ばれることはまずない。
ここはセーフである。

学校の入学式や卒業式もフルネームで呼ぶ。
さらに悪いことに、名前を呼ばれると、必ず返事をして立たなければならない。
こういう場でもぼくは、
「しろげ し・」
「はい!!」
と、名前を呼んでいる途中に、大きな声で返事をして立ち上がっていた。
「お、元気がいいなあ」とほめられてたこともある。
が、実はフルネームを呼ばれるのが嫌だったからである。
卒業証書をもらう時も、
「卒業証書。6年2組、しろ・・」
「ゴホッ、ゴホッ」
と、校長先生が名前を読むと同時に咳払いをした。
「大丈夫かね?」
大丈夫ではない!

意外な所で、フルネームを呼ばれたことがあった。
神社である。
車を買った時、多くの人が神社やお寺に安全祈願をしに行く。
ぼくもご多分に漏れず、交通の神様で有名な宗像大社に、祈願に行った。
この神社は、車のお祓いをする前に、本殿で祝詞をあげることになっている。
ここで予期せぬことが起こった。
その祝詞である。
「・・・、福岡県北九州市八幡西区○○町×丁目に住みたる、しろげノしんた・・・」
やられた。
しっかりフルネームを読まれてしまった。
しかも、「ノ」まで付いている。
当然返事は出来ない。
突然読まれたので、咳払いをする間もなかった。
さらに、神前に玉串を奉げる時に、もう一度名前を呼ばれた。
同じ日に、二度交通事故を起こした気分であった。

なぜそこまでフルネームを呼ばれることに抵抗を感じるのか?
理由は簡単である。
自分の名前が嫌いだからである。
物心ついた時から、大っ嫌いである。
嫌いな名前を、よくまあ、44年間も引きずってきたものである。
変えられるものなら、さっさと変えていただろう。
しかし、そういうわけにもいかない。
そこで考えたのが、通称名を広めよう、ということだった。
東京にいた頃、ぼくは別名を使っていた。
また、アルバイト先でも別名を使っていた。
詩などの投稿の時には、必ずペンネームを使っていた。
ぼくが姓名判断を始めた理由も、実はそこにあるのだ。

姓名判断を始めた時のこと。
自分の名前が、大変良い画数であることがわかったのだ。
「こんな名前が良いわけない」と思い、自分の名前を悪く書いている本を探したものだった。
でも、どの本を見ても、「この画数は大吉です」と書いてある。
しかたがないので、この名前がいかに悪いかというのを、自分で証明しようといろいろ研究した結果、「名前で運命はわからない」という結論に達したのである。

しかし、どうして自分の名前が嫌いなのだろう?
その理由は今もってわからない。
おそらく、幼児の頃に、何か嫌な思いでもしたのだろう。
「お前の名前、でーべーそ」とでも言われたのだろうか。