「さて、何を書こうか?」などと考えていたら、朝を迎えてしまった。
しかたがないので、考えていたことをそのまま日記にした。
今日は休みだったので、それから一眠りしようと思っていたのだが、午前中に済ましておかなければならない用があるを思い出した。
親戚のところに、床漬けを持って行くようになっていたのだ。
ということで、一応日記を書きあげてから、すぐに親戚の家に向かった。
親戚の家は、うちから車で10分足らずの場所にある。
近いし、朝も早かったので、着替えずに寝巻きのままで行った。
ぼくは、ずいぶん昔から寝巻きは作務衣にしている。
休みの日に家にいる時は、着替えずにずっとこの格好である。
ジャージも持っているのだが、最近は肌が弱くなったせいか、あの系統の生地だとすぐに痒くなってしまう。
ぼくの肌には、木綿が一番合っているようだ。
冬はこの上から、袖なしの半纏を羽織っている。
袖なしの半纏、つまりちゃんちゃんこである。
何年か前に、太宰府天満宮に行った時、参道の久留米絣の店で手に入れたもので、けっこう値段は高かった。
野良着のような柄をしている。
これを見つけた時、そこの前から動けなくなったのを覚えている。
今朝は、少し肌寒かったので、そのちゃんちゃんこを羽織って出かけた。
親戚の家の辺りは道が狭く、車で入って行くことが出来ない。
そのため、車はいつも近くのボーリング場に停めている。
この駐車場は無料である。
もちろんそこは、ボーリング場に用があってきた人のためのものであるが、ぼくのような、「親戚の家に来たけど、車を停める場所がないわい」、という人がしょっちゅう停めているのだろう。
そのためだろう、そこには「当ボーリング場に関係のない車を見つけた場合は、10万円の罰金をいただきます」という看板がかかっている。
ぼくはもちろん無視しているが、実際そこで10万円払った人がいるのだろうか。
その看板を見ると、いつもそう思ってしまう。
こういうところなら、見つかっても何とでも言い逃れが出来るはずだ。
もし張り紙でもされていたら、そのままボーリング場に入って、1ゲームでもすればいいことだ。
それにしても、10万円とは現実味のない額である。
駄菓子屋の親父が、おつりを返すのに、「はい、30万円」というようなものである。
せめて1万円とでも書いておけば、少しは牽制になるのに。
さて、その駐車場での話である。
まさか、こんな時間(午前6時)、こんな所に人はいないだろうと思っていたのだが、大間違いだった。
『じじばば』が、ボーリング場の駐車場に集合しているじゃないか。
10人近くいただろうか。
ぼくが車から降りた時、その人たちがいっせいにぼくのほうを見た。
ぼくは知らん顔をしていたが、彼らはじっとこちらを見ている。
そして口々に何か言い合っている。
「何なんだろう」とぼくは思ったが、相変わらず無視していた。
すると一人のばあさんが、ぼくのところにやってきた。
「あんた、遅かったねえ」
「え?」
「みんな待っとるんよ」
「あのー、何でしょうか?」
「○○さんやろ?」
「いえ、違いますけど」
「あー、そうね。白髪のおいさんと聞いとったもんやけ。それは、失礼しました」
そう言って、ばあさんはみんなのいる場所に戻っていき、「あのおいさんじゃないよー」と言っていた。
「おいさんちゃなんか、おいさんちゃ」とぼくはつぶやきながら、親戚の家に行った。
床漬けを置いて戻ってくると、彼らはまだいるのである。
そして、またぼくのほうを見て「あの人やないか」などと言い合っている。
「いや、あれはさっきの野良着のおいさんやないね」
「ああ、そうか。野良着か」
おいさんから野良着になっていた。
ぼくは、駐車場で缶コーヒーでも飲んで帰ろうと思っていたのだが、また『じじばば』に絡まれると面倒だと思い、早々にその場を立ち去った。
しかし、あの時間、彼らは誰を待ち、何をしようとしていたのだろうか。
それを考えると、ちょっと気味が悪くなった。
ということで、今日見ようと思って録画していた、昨日の『陰陽師VS.日本の悪霊たち!・・』は、後日見ることにした。