頑張る40代!

いろんなことに悩む暇があったら、さっさとネタにしてしまおう!

富士山 その3

免停決定で意気消沈したテツローに代わって、アラカワという男が運転することになった。
河口湖ICで高速を降り、そこから富士山五合目に向かった。
天気は良く、気温は上昇、車内は和気あいあい、こんなムードでたどり着いた富士五合目は、寒かった。
みやげ物を買い、記念撮影をし、早々に立ち去った。
ちなみに、ぼくはその時に買った木の根で作ったパイプを、いまだに愛用している。

さて、ぼくは車の中で、「今日は泳げんとか?」と、一人騒いでいた。
ここで泳げなかったら、せっかく海パンを履いてきた意味がない。
しかし、誰も「泳ごう」などというものはいない。
しかたないので、次に行った白糸の滝で、ぼくは滝壺の途中まで行って、一人で水と戯れていた。
その時写した写真があった。
オレンジのTシャツと、真っ赤なトランクス(海パン)で腕組みしている写真である。
ぼくが今まで撮った写真の中で、一番気に入っているものだ。
後日その写真の入ったバッグを、新宿歌舞伎町のパチンコ屋で置き引きにあってしまった。
ということで、その写真は手元にはない。
誰かがネガを持っているはずだが、誰がその写真を撮ったのかも忘れてしまっている。

その後、御殿場から東名高速に乗り、テツローの家がある相模原に向かった。
相模原の駅前にある写真屋にフィルムを預け、現像待ちのため、ぼくたちはテツローの家に行った。
テツローの家で、ワイワイやっていると、例の千葉の友人キタミが、「ないよ」と言って騒ぎ出した。
「何がないんか?」
「免許証がないんだよ」
「持ってきてないんやないか?」
「いや、朝は確かに持っていた」
「じゃあ、どこかに置き忘れたんか?」
「そうみたい」

それから、どこで置き忘れたのかを、みんなで推理した。
「中央高速のパーキングは?」
「その時は車の中にあった」
「河口湖は?」
「その時は持ってた」
「じゃあ、富士山五合目か?」
「うーん、そこからの記憶がない」
「なら、地元の交番に届けがあるかもしれん」
いつしか、富士山五合目に置き忘れた、ということになってしまった。
「じゃあ、さっそく交番に電話してみよう」ということになった。
が、富士山五合目が静岡県山梨県かで、みんなは悩んでしまった。

「富士山というくらいだから富士市だろう」
ということで、ぼくが代表して富士市の警察署に電話すると、その近くの交番を教えてくれ、「そこで聞いてみてくれ」ということだった。
教えられた交番に電話をし、事情を話して聞いてみた。
「いや、うちには届けはないけど」
「そうですか・・・」
「どこで忘れたのかね」
このおまわりさんは人の話を聞いてない。
再度「富士の五合目です」と言うと、
「ああ、富士五合目ね。それなら、管轄は山梨県だ。富士吉田の警察に電話して聞いてみて」

ぼくはさっそく富士吉田の警察署に電話をかけ、五合目を管轄している交番はどこかと尋ねた。
「○○という交番です。電話番号は・・・」
教えられたとおりに電話をしてみた。
また一から事情を話し、そういう届けはなかったかと聞いた。
「いや、来てないですなあ」
「そうですか・・・」
「どこに置き忘れたか覚えてないの?」
「はい、それがわかったら、苦労しませんけど・・・」
「じゃあ、そこに売店があるから、そこに聞いてみたらどう?」
「電話番号がわかりません」
「ちょっと待ってよ。・・・、電話番号は・・・」

売店に電話してみると、「ああ、お土産の入った袋の忘れ物がありましたよ」ということだった。
「すいません。中身を確認して欲しいのですが・・」
「あ、免許証が入ってるよ」
「それです。それです」
「送りましょうか」
「いや、今から取りに行きます」