頑張る40代!

いろんなことに悩む暇があったら、さっさとネタにしてしまおう!

会社顛末記(後)

ぼくの飲み友だちに、Kさんという人がいた。

その人は初代の時に、どの社員よりいい評価を受けていた。

トップは何かにつけ「Kちゃん、Kちゃん」で、彼が何か問題を起こしても、すべて不問にしていた。

ところが、二代目に変わってから、Kさんの評価は最悪のものになった。

Kさんはある部門の責任者をしていたのだが、二代目はそれを認めず、Kさんより年下の人間を、Kさんの上に据えた。

ここからKさんの転落が始まる。



Kさんは酒に溺れるようになり、いつも人事不省になるまで飲み続けていた。

ぼくも時々一緒に飲みに行ったりしたが、その荒れ方はひどかった。

気がつけば刃物を手にしていた、ということもしばしばあったようだ。

その後、会社から禁酒令を出されたKさんは、それを不服として会社を辞めてしまった。



徐々に牙を抜かれていく個性派集団。

その中には、自分かわいさに寝返る人間もいた。

以前は口を開くたびに会社の悪口を言っていた人間が、ある日突然トップのポチとなっていた。

親会社の社長の息子が開発したという、何の役にも立たない商品があった。

当然売れ行きが悪い。

そこで、「その商品をどう売っていくか」ということで会議が行われた。

会議中、突然その男が手を挙げた。

そして、「私に任せてください。責任を持って売りますので」と言った。

トップはその意気を買い、その男にすべてを任せた。



それをお客さんに売るのなら、別にどうということはなかった。

ところがである。

功を焦った彼は、何とその商品と契約書を持って店内を回り、社員一人一人に「会社のためやけ」と言って、無理矢理商品を売りつけようとしたのだ。

みんなは唖然とした。

それもそのはず、前の日までさんざん会社の悪口を言ってきた人間なのである。

同期の者は、『何が会社のためだ。おまえからそんな言葉を聞きたくない』と思って、ほとんどが買わなかった。

が、事情を知らない後輩たちは、泣く泣く買わされていたようだ。



その後、不正を強要するトップが現れたり、人を叩いて使うような前近代的なトップが現れたりした。

そのつど個性派集団は、牙を抜かれていく。

誰もしゃべらなくなった。

そして、笑わなくなった。

もはやヤル気を失っていたのだ。

そして五代目トップの時に、同期社員10数人が辞めた。

その中にぼくもいた。

みな会社に望みをなくしてしまったのだった。



その翌年、社員はみな親会社に籍を移した。

もはや、名前だけの会社になってしまったのだ。

そしてその6年後、創業してから19年後、その会社は終焉の時を迎えることになる。

かつては百数十人いた同期社員は、すでに8人しか残っていなかったという。

ちなみに、そのうちの二人はポチである。



さて、何がこの会社を潰したかだが、いろいろ経営的な問題があったかもしれない。

が、その背景には、経営陣と社員の間がしっくりいってなかった、ということがある。

創業から潰れるまで、トップは7人いた。

一癖も二癖もある人間ばかりだった。

つまり個性(トップ)と個性(社員)のぶつかり合いが、悪い方向に進んだのだ。