頑張る40代!

いろんなことに悩む暇があったら、さっさとネタにしてしまおう!

日記遍歴(下)

その後、また日記的停滞が始まる。
その時期はいよいよ最悪で、3ページで終わっているノートもある。
そのほかのノートも似たり寄ったりで、多くて10ページといったところだ。
これには事情がある。
その頃ぼくは昇進したのだが、その分仕事がハードになったのだ。
朝はズームイン朝が始まる前に家を出て、夜はプロ野球ニュースが終わっった後に家に帰る毎日だった。
それから風呂に入り晩飯を食べるのだ。
さすがに食事が終わった後は、もう何もする気が起きない。
そのまま横になっていた。

ということで、その時期に日記を付けてないのは、別に書き飽きたわけではなかった。
書く時間が持てなかったのだ。
結局その状態は、ぼくが会社を退職するまで続いたのだった。

会社を辞めてから、ぼくはしばらくの間、東京や東北を旅していた。
その旅から帰ってきて、新たに『退職記念日』という日記を付け始めた。
左遷時期からの流れで、エッセイ的な詩が中心になっている。
また、この頃、サラリーマン短歌のようなものを書き始めた。
例えば、こういうものである。

 これもまた 夢に到る 布石だと
 自分自身を 納得させる日

 こんな日が いつまで続くのだろうか
 星を見上げて 終電を待つ

 「こういうことが 流行っているから こうしよう」
 そういうことが 間違ってるんだ

 奴を見て 孔子の言葉を 思い出す
 巧言令色 鮮きかな仁

 くどくどとほざく キャリアウーマンの
 時々変わる 口紅の色

さすがに時間があったから、ノートはすぐに埋まった。

しかし、時間に余裕があったとはいえ、そこに左遷だの失業だのという、いわゆる逆境がなければ書くことは出来なかっただろう。
そういう時期というのは、いろいろと書くことがあるものである。
とにかく状況に押しつぶされそうになるものだがら、それに負けてはならないという意識が働くようになるためだろう。
例えば、その時期、こういう詩を書いている。

 『負けられん』

 ここまで来て思う。
 負けられん。
 絶対に負けられん。
 何があっても
 何が襲ってきても
 負けられんもんは
 負けられん。
 不埒な心は追い出してやる。
 優柔不断は殺してやる。
 負けられんとたい。
 絶対、負けられんとたい。

さて、その後、再就職を果たしたぼくは、またしても日記的停滞に陥ることになる。
しかし、今度の停滞は、前の会社に勤めていた時のように、時間が持てないために起きたわけではなかった。
それまでの『日記=詩』というものに、だんだん限界を感じてきたのだ。
そこで、エッセイを書こうと思うようになった。
ということで、さっそくに挑戦したのだが、それがどうも様にならない。
詩のように、インスピレーションで書くことも出来ない。
ネタ集めも必要になってくる。
本当に面倒な作業だった。
そのため、書いていくうちに、だんだん意欲が沸かなくなってきた。
そういう状態が5年ほど続く。
その間のノートの数は3冊だった。
どれも数ページだけしか書いていない。

日記的停滞が5年ほど続いたある日、ぼくは画期的なものを手に入れることになる。
パソコンである。
それから、ぼくの日記生活が変る。
パソコンを手に入れて1年後、日記はそれまでのノートからパソコンに移った。
その時書いたものが、今のエッセイ集の基本となっている。
それから1年後、いよいよこの『頑張る40代!』が始まるのだ。
この日記は、2001年1月から一日も欠かさず書いているから、来年早々5年目に突入するということである。
ぼくの日記生活の中では最も長い日記帳となった。