頑張る40代!

いろんなことに悩む暇があったら、さっさとネタにしてしまおう!

ヒロミちゃんと飲みに行く(1)

先月のことだった。

前々からヒロミに頼まれていた洗剤を、嫁ブーと二人で持って行ったことがある。

その時ヒロミが、「今度いつ休み?」と聞いてきた。

近くにおいしい焼鳥屋があるので行こうと言うのだ。

「都合がいいのは、月末の土曜日やけど。その日なら二人とも休みやけ」

「じゃあ、月末に行こうね」

ということになった。



それから数日後、ヒロミから『歯を抜いたあとに飲みに行ってもいいんかねえ?』というメールが来た。

どうしたのかと思い、電話して聞いてみると、「月末に歯を抜くことになったんよ」と言う。

「おれ、去年歯を抜いた日に、先生に『今日飲みに行ってもいいですか?』と聞いたことがあるんやけど、その時は『別にかまいませんよ』という返事やった」

「じゃあ、飲みに行ってもいいんやね」

「医者がいいと言うんやけ、いいんやないんかのう。ただ…」

「ただ?」

「歯を抜いたあとに飲んでも、おいしくないんよ」

「ええっ!?」

「刺身を噛んでも流血やけのう。半分血を飲みよるようなもんよ」

「じゃあ、行けんやん」

「そうやのう。おいしくないけのう」



「ねえ、しんたさん。まだ予約してないやろ?」

「えっ、おれが予約するんか?」

「うん」

「知らんぞ、その店。しかも門司やないか。ヒロミの家の近くやろうもん」

「あっ、中リンが知っとるけ、頼んでみたら?」

「ああ、そうか。中リンがおったのう」

中リンとは、ぼくの店で働いている子で、ヒロミの家の近くに住んでいる。

実は、その焼鳥屋は中リンの行きつけでもあった。



「中リンに言って、来月頭に予約してもらって」

「来月の頭でいいんか?」

「うん。その頃は、もう大丈夫やろうけ」

ということで、来月頭(11月4日)ということで、話が決まった。

月末、ヒロミからまたメールが届いた。

『2本抜いた』と書いてあり、そこには抜歯後の間抜けな顔の写真まで付いていた。



さて、前日(11月3日)になった。

ヒロミから、『明日何時に予約した?』というメールが届いたので、『明日は7時30分から。「歯抜けヒロミ」で予約入れておいた』と書いて送った。

『歯抜けヒロミ』、この名前にヒロミは引っかかった。

そのメールがきてから、ヒロミはご主人に「しんたさん、『抜歯(ばっし)ヒロミ』という名前で予約したらしいんよ」と言ったらしい。

ヒロミのご主人は、「そんなの嘘に決まっとるやろ!」と言ったらしい。

そう、嘘である。

ぼくは『歯抜けヒロミ』で予約したのだから。