頑張る40代!

いろんなことに悩む暇があったら、さっさとネタにしてしまおう!

おかしな店2

こたつを取りに行ったのは、午後1時過ぎだった。
朝から降り始めた雨がピークを迎えたのが、ちょうどその時間だった。
車を店の駐車場に置き、ぼくと嫁ブーは滅多に使わない傘を差して店に向かった。
店の中は雨にもかかわらず、けっこう多くの人が買物をしていた。
最初は座椅子でも見てみようかと思っていたが、雨のため何か気が重く感じたため、さっさと荷物を積んで帰ることにした。

「あのー、こたつを取りに来たんですけど」
「はい」
「これですけど」と、ぼくは契約書を見せた。
「えっ、配達になってますけど…」
「ええ、配達時間が合わなかったんで、急遽店渡しにしてもらったんです」
「ああ、そうですか。お待ち下さい」
そう言って、係員はパソコンを打ち始めた。
「しろげしんたさん。はい、確かにお預かりしております。商品を持って参りますので、少々お待ち下さい」

あとは嫁ブーに任せ、ぼくは駐車場に行き、こたつを車に乗せる準備をした。
何せ、120×90センチのこたつである。
いくらRV車とはいえ、そのままでは載らないだろう。
ということで、2列目と3列目のシートを倒すことにしたのだ。

これが大変な作業だった。
なぜかと言うと、後部のシートを倒すことが滅多にないから、倒し方がよくわからないのだ。
しかも大雨である。
全身ずぶ濡れになってしまった。

シートを倒すのに5分以上も費やしてしまった。
そして、再び店内に戻った。
ところが、まだこたつが来てないのだ。
嫁ブーに「まだか?」と聞くと、「うん、まだなんよ」と言う。
ぼくより気の短い嫁ブーの顔は、すでに怒りモードに入っていた。

それからしばらくして、倉庫の兄ちゃんみたいなのが、だらしそうに台車を押してきた。
「しろげしんたさんですか?」
「はい」
「ああ、こたつです」
そう言って、だらしく戻って行った。

ぼくと嫁ブーの前に、お買上げシールの貼ってない大きな段ボール箱が置かれたままになった。
他の係も知らん顔である。
ぼくは係に聞いた。
「あのー、これ持って行ってもいいんですか?」
「はい、どうぞ」
「このままでいいんですか?」
「はい」
「じゃあ、台車借りますよ」
「はい」
いらんこと言わんでいいから、さっさと持って行け、という感じである。

大雨の中、ぼくは台車を押して車を置いてある所まで行った。
鍵を開け、後部のドアを開き、台車に載せてあるこたつを持ち上げた。
「!」
店内では気づかなかったが、箱がえらく汚れているのだ。
ぼくは嫁ブーに、「おい、これ見てみ」と言った。
「えっ、何これ。埃まみれやん」
「おう。普通埃を取ってからお客に渡すよのう」
「うん。文句言ってこようか?」
「もういい。この店とは関わりたくない」
そう言って、さっさとこたつを車に載せ、台車を店内に持って行った。
「台車、ここに置いときますよ」
誰も返事をしなかった。

昨日も言ったが、所詮その程度の店なのである。
ぼくは改めて、その感を強くした。