頑張る40代!

いろんなことに悩む暇があったら、さっさとネタにしてしまおう!

20日の事件(1)

昨日のこと。
Hさんは休んでいた。
Kさんがいたので、「Hさんは休んだんですか?」と聞いてみると、「うん、大事を取って休むらしい。朝電話があったよ」と言う。
「やっぱり昨日の今日ですからね」
「あの人、明日も休みやけ、連休やね」
「ああ、そうですね」

と、その時だった。
そういうことがあったと言うことを、まったく知らない人間が通りかかった。
薬局のイトキョンである。
ぼくはイトキョンを見て、瞬時に「これは遊べる」と思った。

ぼくはさっそくイトキョンを呼び止め、真剣な顔をして「昨日は大変やったよ」と言った。
イトキョンは目を丸くして、「何かあったと?」と聞いてきた。
『しめしめ』と思ったぼくは、「実はねえ…」と昨日あったことを話した。
しかし、元気に帰ってきたとは言わずに、「結局入院したんよね」と言ったのだった。
「えっ、入院したと?」
「うん。1ヶ月以上かかるかもしれんのよ」
「うそー、困ったねえ」
「そうやねえ。ただでさえ、ここは人が少ないけね」
「年末で忙しくなるしね」

話が終わり売場に戻ると、そこにKさんがいた。
さっそくぼくはKさんにそのことを言った。
「Kさん、今、イトキョンにHさんが入院したと言っときましたから、口裏合わせとってください」
「わかった。入院やね」
そう言って、Kさんはイトキョンのところに行った。
Kさんは、真剣な顔をして、イトキョンとしばらく話していた。

話が終わったようなので、何気ない顔をしてイトキョンのところに行くと、イトキョンは暗い顔をして立っていた。
「どうしたと?」
「Hさん、相当悪いんやね。Kさんが入院が長引くけ、見舞金を一人3千円集めると言ってたよ」
『えっ?』、話が膨らんでいる。
しかし、否定すると嘘だとバレるので、「そう、さっきKさんから聞いた」と言っておいた。

それから1時間ほどして、イトキョンがぼくのところにやってきた。
「しんちゃん、また騙したやろ」
「えっ、何のこと?」
「Hさんが入院したなんて嘘やないね」
「入院したよ」
「でも、みんなが『Hさんは、昨日すぐに戻ってきたよ』と言ってたよ」
「そうよ。昨日は戻ってきたよ」
「ほら、やっぱり嘘やん」
「嘘やないよ。誰も昨日入院したとか言うてないやろ」
「えっ?」
「会社に自分の車を置きっぱなしにするわけいかんし、入院するためには準備がいるやん。だから一度戻ってきたんよ」
「あっ、そうか」
「今日入院したんよ。Hさん、今日休んどるやろ」
「そういえば見らんねえ」
「人の話をちゃんと聞かな」
「すいません」

「あ、そうそう。イトキョン、頼みがあるんやけど…」
「何でしょ?」
「あんた、Hさんの机の上に花を置いといてやって」
「花を?」
「うん。学校でよくやったやん」
「えっ、それは死んだ人にするんやったやん」
「そんなことはない。入院した時にするんよ」
「そうやったかねえ」
「そう。従業員を代表して、ちゃんと花を供えときよ」
「私が!?」
「そう、年長の仕事やないね」
「私、年長じゃないよう」
「そんな細かいことは言わんでいいけ、ちゃんとやっとってね。年長さん」
「‥‥」