11月29日休み。
今日は午前中に床屋に行った。
前に行ったのは、確か2ヶ月ほど前だったと思う。
3週間ほど前から前髪が垂れてきて、鬱陶しかった。
その頃に行こうと思っていたのだが、仕事が入ったために行けなかった。
その後はご存知の通り、風邪である。
ということで、今日まで延び延びになっていたのだ。
まだ風邪の方は治ってないのだが、いちおう残っている症状は咳だけで、それを除けば健康体とほとんど変わらないところまで回復している。
朝起きて、いちおう体をチェック下のだが、特に悪いところはないようなので、床屋行きを決行することにした。
ただ、いったん咳き込み出すとひどいので、念のために咳止め薬を飲んでいった。
顔を剃っている時に咳き込みでもしたら大変だからだ。
行ったのは朝9時だった。
一番乗りだった。
ところが、床屋には誰もいなかった。
いつも店番をしている犬さえもいない。
ま、いつものことなので気にせずにそこにあった少年マガジンを読んでいた。
近くにいくつも床屋があるのに、なぜこういう待たされる床屋に固持するのかというと、それは『魁!!クロマティ高校』を読めるからである。
これがあるから、なかなか床屋をかえられないのだ。
もしかしたら、他の床屋にも少年マガジンは置いてあるかもしれない。
だが、それを調べるために、冷やかしに行ったりとか、電話で聞いたりとかいう面倒なことをぼくはしない。
そこにあるから、それで充分なのである。
姉さんが出てきたのは20分後だったから、その間充分に『魁!!クロマティ高校』を読むことが出来たのだった。
髪を切っている途中にも、電話が入ったり、集金人が来たりして、なかなか終わらなかった。
それもいつものことなので、ぼくは気にせずに眠っていた。
そういえば、眠っている時に「しんた」という声が聞こえた。
ぼくが声のほうを振り向くと、姉さんが「あっ」と言った。
ぼくが目を開けると姉さんは、「どうしたと? 痛かったと?」言った。
「えっ…。いや…」
そう言いながら、ぼくはあたりを見回した。
だが、その声の持ち主らしき人は見あたらなかった。
おそらく夢だったのだろう。
それか、目に見えない何者かがそういう声を聞かせて、事故を未然に防いでくれたのかもしれない。
ようやく終わったのは、11時前だった。
心配された咳き込みもなく、無事に散髪は終了した。
頭がスースーして寒かったが、長い時間鬱陶しかった前髪も垂れず、実に爽快な気分で家に戻ったのだった。