夜のことだった。
実家に行くと、ぼくの好きな『森永キャラメル』が置いてあった。
食事前なので、ふつうなら食べない場面だ。
しかし、明日が休みということもあり、つい一粒口に入れてしまった。
それがいけなかった。
その後、一つが二つに、二つが三つになっていった。
気がつくと、そこには10数個分のキャラメルの包みが散らばっていた。
「あっちゃー、これはいかん。このへんでやめとかんと、飯が入らん」
と、最後のキャラメルを噛んだときだった。
ガチッと歯に当たるものがあった。
その感触、以前に何度も味わったことがある。
「もしかしたら…」と、その『ガチッ』を口の中から取り出してみた。
やはりそうだった。
歯にかぶせていた冠が外れたのだ。
一昨年の11月から昨年の8月までの足かけ10ヶ月、ぼくは歯医者通いをやっていたのだが、冠はその時かぶせたものだった。
ちょっと早すぎる気がする。
しかし、外れたと言っても、別に食事とかに支障があるわけではない。
外れた部分は穴が開いてしまったわけだが、その下はしっかりセメンのようなものが埋まっていて、中に異物が侵入しないようになっているようだ。
とはいえ、このまま放っておいたら、そのセメンのようなものまでが外れる可能性もある。
ということで、明日は休みを利用して、歯医者に行ってこようと思っている。