毎年この時期になると、コンビニでホラー本や怪談本を買っている。
特によく読むのが、稲川淳二の恐い話で、あの語り口をイメージしながら読んでいる。
さて、先日、今年に入って初めて稲川本を買った。
そこに、えらく身近な話が載っていた。
北九州のテーマパーク近くにあるホテルに、幽霊が出るのだそうな。
何でも、そのホテル内にあるバーの窓に、子供の姿が映るというのだ。
そのホテルは、そのテーマパークが一望できる位置にあるらしい。
ということは、あのホテルしかない。
数年前に、日テレの雷波少年の中の企画で、ドロンズがロシナンテと泊まったホテルである。
しかし、そのホテルに幽霊が出るなんて聞いたことがない。
このへんでよく噂が立つのは、小倉駅前にある大手デパートくらいだ。
そのデパートの建っているところは、元々お寺やお墓があった土地だから、建つ前から「あそこは出るよ」と言われていた。
今のデパートになる前、そこは潰れたS百貨店が入っていたのだが、そこがオープンして数日後、さっそく「出た」という噂が流れた。
それを聞いて、ぼくの周りの者は、みな口を揃えて「やっぱりね。あんなところに建てるけよ」と言ったものだった。
では、今回のホテルの建っているところだが、そこもお寺やお墓があった場所なのかというと、そうではない。
そこには元々、某大企業の事務所が建っていたのだ。
その当時も、幽霊が出るなどという噂は聞いたことはない。
いったいその幽霊は、何ものなんだろうか?
そのホテルを建てる時に、事故に遭った人の霊なのだろうか?
しかし、それは考えられない。
なぜなら、最初に書いたとおり、それが子供の霊だからだ。
工事中に事故があったとも聞いてないし、仮に事故があったとしても、子供が工事現場にいること自体がおかしい。
事故死したのはおっさんだが、そのおっさんの霊魂は、実は子供の霊だった、ということは考えられない。
うーん、何なんだろうか…?
あっ、そうだ!、こういうことが考えられる。
それは、客を呼ぶ幽霊だということだ。
それなら合点がいく。
しかし、コンビニコミックでは、ぼくみたいな物好きしか読まないだろうから、その幽霊はあまり客を呼べない、つまり効果のない幽霊だということになる。