この間ビートルズの話をしたが、ではぼくはビートルズの中でどの曲が一番好きかと問われれば、ちょっと答に窮してしまう。
どの曲も想い出に残っているものだし、どの曲も音楽的に影響を与えられたからだ。
メロディライン的に言えば、『フール・オン・ザ・ヒル』が好きなのだが、メロディラインが絶対とは思ってないので、それを上げることは出来ない。
では「詩は?」というと、すべてが「愛」に繋がっているわけだから、どれも甲乙付けがたい。
ということで、しろげしんたのビートルズ・ベスト1は、該当なしということになる。
ただ、一つだけ、これはベスト1だと言えるものがある。
それはタイトルだ。
で、どの曲のタイトルがベスト1なのかというと、『ゲッティング・ベター(Getting Better)』である。
ビートルズの最高傑作と言われているアルバム、『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』のA面(懐かしい表現でしょ?)4曲目の曲だ。
実は高校3年の時に落ち込んでいたことがあったのだが、その時勇気づけられた歌が、その『ゲッテイング・ベター』だったのだ。
それまでビートルズといえば、ぼくの中では、ただ漠然と聴く音楽だった。
ところが、ひょんなことから『ビートルズ詩集』なるものを手に入れて、それを読んでいくと、「よくなっていく」というタイトルを見つけた。
それが『ゲッティング・ベター』だったわけだ。
「よくなっていく」、この言葉を目にした時、気持ちが楽になるのを感じた。
そこで、ぼくは念仏のように、いつも口の中で「ゲッティングベター」と唱えていたのだった。
それでなんとか落ち込んだ状態から、抜け出せたのだ。
後年、本屋で立ち読みをしていると、そこに「私は日に日によくなっていく!」というサブタイトルの本を見つけた。
タイトルはたしか『自己暗示術』だったと思う。
ぼくはそれを見て「おっ」と思い、その本を手にとって読んでみた。
すると、そこには「自分にこの言葉をずっと言い続けると、つまり自己暗示をかけると、本当によくなっていく」というようなことが書いてあった。
少なくとも、未来は今より悪くはならないと思えてくるということだった。
「日に日によくなっていく」、つまり「ゲッティング・ベター」である。
なるほど、高校時代に「ゲッティング・ベター」と唱えたのは、間違いじゃなかったわけだ。
なぜなら自己暗示術の理に適っていたのだから。
「ゲッティング・ベター」か。
また言い続けてみようかな。